天気を気にするひとのブロッグ

へなちょこプラントラバーが千葉より綴る…

発根管理を考える 其の三。

発根管理についての最終回です。

 

前回、前々回は用土について書きました。今回は最後に管理方法について書きたいと思います。

 

つい先日、去年の秋から発根管理してたパキポがほとんど未発根という事実を知りまして。非常にショックを受けながらも再度処理をし、リセットして発根管理をやり直しています。そして同じくらいのタイミングでコロナの影響で長らく待たされた今年の一発目の現地球も入ってきました。私も良くしてもらっている方から何株か譲っていただいたので、ちょうどそれらの株を例にとって私の管理を紹介します。

 

f:id:rito-man:20200529112217j:image

"秋から管理して全く根が出てなかった株A"

 

f:id:rito-man:20200603000213j:image

"コロナの影響を受けながらようやく入ってきた株B"

 

輸入されてすぐの株はもちろん抜き苗のまま手にすることが多いと思います。抜き苗だと根元を見ればわかるので問題ないとして、重要なのは既に鉢に植えられた株の場合はどうやって発根の有無を判断するかです。鉢底から根が出てきてくれていればわかりやすいんですけど、発根していても全ての株がそうとも限りません。チョロ根という場合もあります。私が未発根じゃね?と疑うポイントは以下のような状況の時です(あくまで私はね)。

 

・芽吹いてるのに葉がなかなか展開しない。

・周りの鉢に比べて土の乾きが明らかに遅い。

・へこんだ部分が戻らずシワのようになる。

・鉢を持つと想像より遥かに軽い。

・なんか顔色が悪い。

・直感。

 

なんか経験や現物を目の前にしたときに感じるものが判断基準を占めており、なかなか文字では表せなくてすみません。ちなみに今回、発根管理していたが未発根だった株Aは芽吹くが葉が展開しないのと、ヘコミが戻らない、土が乾かないことから怪しいと判断して抜いてみました。ちなみに幹が柔らかくブヨブヨしてる時は腐れの可能性が高いのでそういった場合もすぐに抜きましょう。生きてるけど水切れでへこんでる時はハードグミを触ったように弾力があり指が押し戻される感じ、腐っている時はスクイーズ握ったようにブニブニーとゆっくりへこみ、ゆっくり戻る感じです。

 

 

ここまでわかりやすければいいですが。これは言うまでもなくもう腐っています。そして気をつけるべきはこうなっては救う方法がないこと。なのでこうなる前に異変に気付かないといけません。

 

あとオークションや店舗で鉢に既に植えられたものを買った時も鉢底から根が出てるなど目で確認できる場合を除いてよっぽど時期が悪くなければ出来るだけ抜いて確認しておいた方がいいです。根が無いのに、それを発根済として売っていたのであれば売り手にも責任はありますし、未発根かもということを理解して買ったとしても、根の状態を確認して、必要があれば然るべき処理をしないと死んでいくだけです。


f:id:rito-man:20200529112250j:image

私が発根処理に使うのはこれらの薬剤。これは輸入直後の未発根株でも、リセットして管理やり直しの株でも同じものを使っています。

 

まずは根元を生きている部分まで切り詰めます。

 

f:id:rito-man:20200604182440j:image

こちらは今年入ってきたばかりの現地球、株Bの到着して何も処理していない根元。こういう状態で植えたところで発根はしなくはないですが、時間がかかるので、火で炙って消毒したカッターなどを使って根が出やすくなるお手伝いとして根を切り詰めます。腐ったり、既に枯れてる部分は刃を入れた時にグニっと切りにくいですが、生きている部分はさくっと刃が入るので、切り口見る前にもなんとなくわかります。

 

f:id:rito-man:20200604182859j:image

少し切っただけですが、すぐに生きた部分が出てきました。

 

f:id:rito-man:20200603003058j:image

こちらはABでもない別の株ですが、このように切ってもなかなか黒い部分が無くならないこともあります。黒くなってるところは腐りが入ったり、死んでる部分なのでここからの発根は望めません。放っておくと今後進行して一気に株がダメになる可能性もあるので、出来るだけ切除したいところ。…なのですが、残された根の長さによってはこれ以上切れない!という場合もあります。それでも黒い部分が残ってる時は殺菌剤(私はダコニール1000倍希釈使います)塗ってそのまま乾かして様子見ます。腐りが進行してるならジュクジュクと乾ききらない感じで、指がズブズブ入ります。こうなるとなかなか厳しいです。ちゃんと乾ききっていて、柔らかさもない時は腐りが止まっている可能性があり、希望はまだあります。

 

だけどあくまでこれらは一部分少しだけ黒いところがある程度の時の話です。

 

f:id:rito-man:20200603002746j:image

これくらいまで腐りが進行してると手の施しようがありません。もし買ってすぐの株でこんな状態の場合は購入先にまずは相談しましょう。もはや手遅れなのでまともな植物屋であればしっかり補償してくれるでしょう。だからこそ鉢植えの株を買った場合は出来るだけ早く抜いた方がいいです。

 

f:id:rito-man:20200606191321j:image

上記の株を試しにこのまま植えてみて1週間後でこの姿。完全に腐ってグジュグジュです。指で簡単にどんどん掘り進めていけます。匂いはちょっと酸っぱい鼻につく匂い。

 

f:id:rito-man:20200529112239j:image

一方の株Aに戻って、秋からの管理では根が出ず、当然ながら傷んで黒くなっていたので、少しだけ切り詰めました。根を生きてる部分まで切り詰めた後はオキシベロン40倍希釈の溶液に漬け込みます。時間は根の状態によりますが、今回は12時間ほど漬けました。黒い部分が取りきれなくて、ダコニールを塗って乾かした時はこの工程は省略する場合もあります。オキシベロン希釈液からあげたらベニカをワンプッシュして乾かします。上の写真はオキシベロンに浸けこんで乾燥までさせた後ですが、これだとまだなんとか期待出来るかな?

 

f:id:rito-man:20200529112301j:image

ベニカを散布して十分乾かしてから最後にルートンを薄く塗ります。ポイントは切り口だけで無く、根が出そうであろう根元全体に薄く塗ること。切り口から発根することより、他の場所から発根してくる時の方が多いです。

 

f:id:rito-man:20200605175653j:image

株Bに関してはオキシベロン24時間漬け。その後、ベニカをワンプッシュして乾かしてからルートンを薄く塗る。

 

これで下準備は完了。まとめると工程は以下の通りです。

 

パターン① 「根の切り口は綺麗な状態

オキシベロン40倍希釈液に12〜24時間程度漬け込み

根元にベニカXファインをワンプッシュして乾燥

乾燥したら根の周りにルートンを薄く塗って植え込み

 

パターン② 「黒い部分が取りきれない場合」

ダコニール 1000倍希釈を塗り乾かす

【切口がしっかり乾いて柔らかさはない】

しっかり乾燥したら根の周りにルートンを薄く塗って植え込み

【切口が湿っぽく、柔らかい】

もう少し切れるようなら切り再度殺菌、乾燥の繰り返し

 

株A株B共に今回は腐りもなく生きてることが確認出来たので、用土に植え込んで発根管理スタートします。


f:id:rito-man:20200529112227j:image

いつも通り植え込むだけ。特別な土も使わずに普段の培養土です。発根管理には肥料も不要ですが、発根してもすぐに植え替えるわけではないので緩効性肥料は土に入ってます。鉢は最初から陶器鉢に植え込んでも状態のいい株なら問題ないのですが、やはり土が暖まりやすい黒のプラ鉢がオススメ。これがいつものパターン。

 

f:id:rito-man:20200605175811j:image

ただ今回は新たな取り組みとして前回紹介した発根管理用に配合しオーダーメイドした土に植え込んでみます。鉢は通気性のいいスリット鉢を使用します。鉢底に軽石多めで更に通気性を高めて植え込みました。表土の富士砂は発根管理には不要ですが、スリット鉢は柔らかいので株がズレたりする為、株の固定も兼ねて硬い富士砂を敷いています。紐で固定するなどでもいいと思います。

 

f:id:rito-man:20200605175857j:image

置き場は5月以降であれば外でも問題ありません。雨晒しの場所はもちろんNG。直射も出来るだけ避けた方がいいので風通しの良い半日陰の場所がいいです。我が家では最低気温が15℃を下回っていればハウス内の日陰、最低気温がそれ以上だと雨に濡れない日陰です。今はもうだいぶ気温も上がったので、今回は40%遮光ネットが張ってあり、雨に濡れない場所で管理します。水やりも基本的にはサッと軽く1日で乾く程度。あとは霧吹きで管理。ベストの時期は梅雨の湿度が高い6月くらいが個人的には一番いい時期。

 

逆に秋以降に発根管理するのはあまりオススメしません。今回、我が家の未発根の株も全て昨年の秋以降に入った株でした。もちろんガラス温室など使えば発根管理は年間通して可能ですが、やはりガラス温室だと水分や湿度の調整が難しいので、私はもう断念することにします。

 

以上が私の管理方法でした。

 

…最後に改めて。ここまで書いておいてこういう身も蓋もないことを言いますが、結局のところまずは株の鮮度というのは間違いありません。状態の良い株なら何も下処理もせず、陶器鉢に植えてもすぐに動き出します。逆に長らく抜き苗のまま放置されたり、海外で適当に採取されてダメージが残っている株はどうやっても発根しません。ないので、まずは未発根株の購入は信頼出来るところから買ってください。そして根気強く、折れない心も必要です。全く気候が違う場所からやってくる植物が簡単にその地の気候に慣れるのは想像以上に難しいです。今回投稿した方法で100%発根する保証はもちろんありませんし、株の状態によっては抜いて確認したり、水耕に切り替えたり、ちゃんと目で確認しながら管理する必要があります。枯らしたり、腐らせたりすることもあると思いますが、勉強代としてじゃあ何が原因だったのかをしっかり考えて改善していくしかないですね。

 

繰り返しですが、あくまで!私はこんな感じで私は発根管理していますの紹介でした。ちょっとだけ参考程度にお考え下さい。用土についてを2回とそして今回の計3回でだいぶ長い文章になってしまいました。最後まで読んでいただいた方はありがとうございました。

 

発根管理は悲しい想いをすることも多いですが、発根して葉が出た時の喜びはたまりません。現地の自然破壊などを考慮すると、これからどんどんみんなも輸入株の発根管理をしようぜ!とは言えませんが、長い年月をかけて育ってきた株達。どうせ、日本にもう既に根無しで入って来たのであれば、せめて大事に育てて一生付き合っていきたいですね。