天気を気にするひとのブロッグ

へなちょこプラントラバーが千葉より綴る…

多肉週刊誌。


スポンサーリンク

なんとか生きてます。

 

梅雨の長雨に嫌気がさしてブログ、サボっておりました。どうもすみません。梅雨が明けて一気にわーっと暑くなって、それもそれで庭仕事が出来なくて困ったものです。

 

今日はこんな本が発売になって予約してたのが早速届いたのでちょっと紹介します。

 

f:id:rito-man:20190731184049j:image

数年前は国内での塊根植物の書籍は皆無でしたが、今やブームに乗せられて今度は若干供給過多になりつつあります。実用書で難しいのが"絶対"が書けないこと。「絶対花が咲く管理方法」「絶対に枯らさない育て方」こんな見出しって魅力的ですが100人読者がいれば100通りの飼育環境があって、誰もにとって"絶対"なんてあるはずがありません。そこで絶対なんて書いたら「お前が絶対枯らさないって言ったのに枯れたじゃないか!」となるのが目に見えています。

でもだからこそあまり踏み込んだ内容に出来ずに当たり障りのない似たような内容の本が次から次に出ている現状ですが、ちょっとこの本は帯を見ても様子が違いそう。だって「完全発根」なんてワードは趣味の園芸では使いません。そして中央には「WEB情報を超えた」という文字が。攻めてますね。似たような書籍が多いからこそこういう帯は大事です。そしてパキプスを完全発根させようという人は初心者ではないでしょうから、知った情報ばかりの書籍に飽き飽きしている層も惹きつけられそうです。

 

この書籍、実はその前に発売されたコーデックス本と同じ方が編集されています。

 

多肉植物&コーデックス GuideBook

多肉植物&コーデックス GuideBook

 

 

なかなか評判の良かった本ですが、内容的には初心者〜中級者といったところでした。新しい本はその一歩踏み込んだ内容としての位置付けです。

 

f:id:rito-man:20190731185935j:image

内容は大きく分類すると潅木系、パキポ、アガベ、ビカクシダの4つに分かれます。

 

それぞれの分類で品種の紹介と植え替えなどの読み物で構成されています。アガベ、ビカクシダを入れたのはブームを押さえてるところ。流行りは来ていますが、今までこの辺りがページ割かれて取り上げられた書籍ってあまりなかったですからね。他の類似書籍との差別化は図られています。

そしてこの4つの分類の植物以外は一切掲載されていない潔さ。多肉植物を始めたばかりでもっと他にも色々な植物を見たい!という方はどうぞ他の書籍をお読み下さいと。でも全くその通りで多くの属、多くの品種が見たい、知りたい方にはオススメは出来ません。そうした方は前に出したコーデックス本を読んでねということでしょう。上手いですね。

アガベ、ビカクシダは私の範囲外なので省略しますが、潅木系、パキポでいうと今までもあった品種紹介だけで終わらずにそれぞれ特集を組んでいる作り方は見事です。品種紹介している本は既にたくさんありますからね(珍奇植物はそうした本になってしまっていました)。

 

f:id:rito-man:20190731190505j:image

例えば潅木系でいうとこの本の一番の目玉とも言えるパキプスの発根管理についてです。未発根株を買っても根が出る確率が1割、2割と言われるパキプス。その発根管理について本に書いちゃおうというのはなかなか思い切った決断です。発根が難しいということはこの本見て、同じ管理して、根が出ないじゃないか!と言われる確率が高くなる訳ですから。

内容は要は水耕で発根目指しましょうという内容ですが、今まで他の書籍やネットではあまり書かれてこなかった生きた株の見分け方や根の処理、少しでも発根率を上げるヒントのようなものがたくさん書かれています。これと同じ方法で100%発根!というのはやはり、なかなか厳しいかとは思いますが、しっかりと根拠が書いてあるので知っておいて損ではない情報かとは思います。この辺りは編集者の方のこれまでの知識や経験、取材が反映されているのでしょう。

更にタイミングよく、一時は止まっていたマダガスカルからの荷物がまた今月頃から入ってきており、パキプスも抜き苗がたくさん出回っています。本の発売の時期もちょうど良かったのではないでしょうか。

 

パキポのページでは品種紹介は自生地写真が多めで嬉しいです。私は洋書の「Pachypodiums in Madagascar」というパキポ本を持っていますが、みんながみんな所持している訳ではないですからね。ちなみにBplantsに載っている自生地写真は「Pachypodiums in Madagascar」の著者であるWalter Roosli氏から写真を提供してもらったそうです。

 

Pachypodiums in Madagascar

Pachypodiums in Madagascar

 

戻ります。パキポのページではあと接木について。

 

f:id:rito-man:20190731191310j:image

これはとても面白かった。今までパキポの接木を紹介する本なんて無かったですから。世界的にも初ではないでしょうか。あとはとんでもなく実生を作るのが上手いモツ屋のおじさんの紹介とかも面白い。

 

と、一読して気付きました。これは実用書ではなくて雑誌です。メインの品種紹介があって、ちょっと胡散臭かったり、ちょっとアングラな人が登場したり、まるで週刊誌を読んでるよう。こうしたアプローチの植物本は初めてで、そう思うとなんだか倍楽しく読めました。編集者がここまで考えてたのだとすればお見事ですし、まんまとハマってしまいました。

ただ週刊誌だ!というだけにもう少し紙の質を下げてもいいので1,000円以内とかに収めてくれるとより素晴らしかった。そしてもっと遊んだ内容でもよかったのかなと思います。ただ他の本との差別化は出来ていますし、これなら最近供給過多気味の植物本に飽き飽きしていた人にとっても勧められると思います。

 

塊根ブームはだいぶ落ち着きつつありますが、だからこそ、少し違う角度からのアプローチが求められます。この本はそこをしっかりと意識して作られたよい本だと思います。取り上げられている4つの品種に興味がある方は是非手に取ってみて下さい。